下ネタに類する無駄なコミュニケーションをする人々の属性

思考

以前の書き物を整理する中で、「下ネタへの考察」という記事を見つけた。芸人が言う下ネタは好きなのに、一般人が言う下ネタはどうにも好きになれない。そんなことを書いていた。

今でも、この感覚はほとんど変わっていない。むしろ下ネタに限らず、似たような「無駄なコミュニケーション」が世の中には結構あると思っている。


この記事でわかること
  • なぜ一般人の下ネタやパワハラ風ジョークに違和感があるのか
  • 「一回やだと言う」ような無駄なコミュニケーションとの共通点
  • 面白い冗談と不快な冗談を分けるものは何なのか

下ネタが嫌いなわけではない

僕は下ネタ自体が嫌いなわけではない。芸人が言う下ネタはむしろ好きだし、パワハラを題材にした笑いだって面白ければ普通に笑う。

たとえば、有吉が『オールスター感謝祭』のような状況をパロディにしてブチ切れるような笑いも好きだ。

ただ、ああいう笑いにはタイミングがあるし、ネタの鮮度もあるし、それを成立させる技術もある。同じ言葉でも、いつ、どこで、誰が、どういう流れで言うかによって全然違う。少し前なら笑えたネタを何度も繰り返せばスベるし、際どいことを言うなら、それを笑いとして成立させる技術も必要になる。

下ネタもパワハラも、言葉そのものに面白さが備わっているわけではない。それをどう使うかによって初めて笑いになるものだと思っている。

「これパワハラか(笑)」の何が面白いのか

たとえば会社で、「一発芸して! あ、これパワハラか(笑)」みたいなことを言う人がいる。

別に本当に一発芸を強要したいわけでも、パワハラをしたいわけでもない。「パワハラっぽいことを言って、自分でパワハラだとツッコむ」というところまでが一つのネタになっている。

僕はこういうとき笑わないし、特に反応もしない。面白くないというのもあるけど、言った本人だけじゃなく、言われた僕まで一緒にスベっているような状態になるからだ。そこから僕が愛想笑いをして、この場を笑いとして成立させるメリットが僕には一つもない。

でも周りを見ると「あはは」と反応する人がいる。本当に面白くて笑っている人ばかりではなく、愛想笑いもかなり含まれているんだと思う。ただ、言った側からすれば笑ってもらえたことに変わりはない。

「これを言ったらウケた」と思えば、また言う。

昔、一般人が言う下ネタに感じていた違和感もこれに近い。下ネタを言えば面白いわけでも、パワハラっぽいことを言って自分でツッコめば面白いわけでもない。

僕からすると、どちらもそれなりに難易度の高い笑いだと思っている。

一回「やだ」と言う、あの無駄なラリー

似たような感覚になるコミュニケーションがもう一つある。

こちらが上司に何かを質問したりお願いしたりすると、普通に答えれば終わるところで、一度「やだ」と言ってくる人がいる。

もちろん本当に断るわけではない。そのあと普通に答えてくれたり、お願いを受け入れてくれたりする。

あれも僕にはよく分からない。

最終的にやってくれるなら、その「やだ」を挟んだ一往復は何だったんだろうと思う。おそらく相手からすれば、ある程度距離感が近いと思っているからこその冗談なんだろうけど、こちらは質問やお願いをしに来ただけなので、突然発生したラリーに付き合うことになる。

もちろん、こういうやり取りだって面白ければいい。

僕自身、一般人が冗談を言うことを否定したいわけではないし、自分だってパロディ的なことをやることはある。スベるかもしれないけど、それでも勇気を出してやる。笑いを取りにいくなら、少なくとも自分がスベるリスクくらいは自分で背負うものだと思っている。

スベった後の処理を相手に任せないでほしい

下ネタ、パワハラ風ジョーク、一回「やだ」と言う無駄なラリー。

内容はそれぞれ違うけど、僕の中では同じジャンルに分類されている。

たぶん共通しているのは、「これを言えばちょっと面白いやり取りになる」という型を使って、相手から反応を引き出そうとするコミュニケーションなんだと思う。

下ネタを言う。パワハラっぽいことを言って自分でツッコむ。普通に答えればいいところで一度「やだ」と言う。

そして相手が笑ったり、ツッコんだり、「なんでですか(笑)」と返したりするところまで含めて完成する。

でも、その型を使った本人に笑いを成立させるだけの技術がなければ、最後に残るのは相手側の仕事になる。

だから僕が苦手なのは、下ネタでもパワハラでもないのだと思う。

自分が面白いことをしたつもりになって、スベった後の処理を相手に委ねるコミュニケーションが苦手なのだ。

際どい笑いほど、僕はテクニックが必要だと思っている。タイミングを考えて、ネタの鮮度を見て、それを笑いに変える技術があって初めて成立する。

以前の書き物を整理していて、結局自分は今も同じようなことを考えているんだなと思った。

少なくとも、その点については筋が通っている。

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