『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』|ブッヒーの映画感想

映画

鑑賞日:2026年9月25日
鑑賞環境:映画館


この記事でわかること
  • 『踊る大捜査線 N.E.W.』を観た率直な感想
  • 「N.E.W.」なのに新しさを感じられなかった理由
  • 青島と若手刑事の描き方に感じた物足りなさ

🐷 ブッヒー評価

総合:2.0 / 5
内容:1.5 / 5
音楽:3.0 / 5
構成:2.0 / 5

※この記事はネタバレを含みます。

「N.E.W.」なのに、何が新しかったのだろう

『踊る大捜査線』が再びスクリーンに帰ってきた。新メンバーとして、趣里演じる芝田ひばり、白洲迅演じる美浦秋らが加わり、新しい『踊る』として展開されている。

ただ、観終わって最初に残ったのは、「N.E.W.って何だったんだろう」という感覚だった。

旧シリーズの懐かしさはある。一方で、新しいキャラクターが圧倒的に活躍するわけでもなく、現代だからこそ描ける事件や捜査が前面に出るわけでもない。懐かしさにも新しさにも振り切れず、全体としてかなり中途半端に感じた。

もし今の時代に『踊る大捜査線』を復活させるのであれば、闇バイトのような現代的な犯罪を扱うなど、「今だからこのシリーズをやる」という理由がもっと欲しかった。

事件そのものより、解決までの見せ方が弱かった

事件の題材そのものが悪かったとは思わない。

ただ、捜査が進んでいく過程にあまり乗れなかった。ずっと何がどうつながっているのか掴みにくいまま物語が進み、最終的には解決していたという印象が強い。

青島は映画の冒頭から走り回る。確かに、足で情報を集めて事件を追う青島らしさはあるのだけれど、その行動が一本の線になって、最後に「青島が足で捜査したから事件を解決できた」と気持ちよくつながる脚色が足りなかった。

青島は走っているのに、物語そのものは走っていない。

そんな感覚だった。

若手刑事が「新しい踊る」になりきれない

芝田ひばり(趣里)と美浦秋(白洲迅)は、それぞれ所轄の刑事として登場する。

おそらく、かつてのすみれさんや真下のように、青島とは違う立場から物語を動かしていく存在になるのだと思っていた。

あるいは、青島が捜査一課側にいるのであれば、所轄の若手刑事と青島との関係を、新しい「室井と青島」のように育てることもできたはずだ。

しかし、どちらにも振り切れない。二人が圧倒的に事件を動かすわけでもなく、青島との関係性が強く育つわけでもないため、最後までキャラクターが立ちきらなかった印象が残った。

せっかく「N.E.W.」メンバーとして登場させるのであれば、この二人が次の『踊る』を背負うくらいの存在感を見せてほしかった。

青島だけを「昔の人」として置いてほしかった

今回、一番見たかったのは、実はもっとシンプルな構図だった。

旧キャストを中途半端に登場させるのではなく、青島だけを過去作から残して、現代の捜査現場に放り込む。

昔ながらの「足で稼ぐ」捜査を続ける青島と、現代の捜査手法を使う若手刑事たち。価値観も捜査方法も違う中で、青島が孤独を感じたり、ときには若手から学んだりしながら、最後にはそれぞれの強みが融合して事件を解決する。

そんな物語なら、『N.E.W.』というタイトルにも意味があったと思う。

昔のキャラクターがいる安心感ではなく、昔からいる青島が新しい時代の中でどう生きるのかを観たかった。

旧キャストの登場は、今回はノイズに感じた

もちろん、シリーズを長く観てきた側としては、懐かしい人物が登場すれば反応はする。

ただ、今回はそれがプラスにはならなかった。

過去作とのつながりを楽しめる作りにはなっているが、それをやるのであれば『THE FINAL』のような作品で思い切りやればいい。今回はタイトルに『N.E.W.』と付けている以上、旧キャストを懐かしさのために散らすよりも、新しい人物、新しい関係、新しい事件に時間を使ってほしかった。

懐かしさを捨てきれず、新しさにも振り切れない。その中途半端さが、作品全体にずっとつきまとっていた。

観終わったあとに残ったのは「虚無」

『踊る大捜査線』には思い入れがある。

療養中にシリーズが再始動すると知ったときには胸が躍ったし、『室井慎次』前後編には不満を感じながらも、それでも再びあの世界を観られること自体は嬉しかった。

だから今回も、当然期待していた。

それでも、観終わったあとに残ったのは怒りでも悲しみでもなく、虚無だった。

事件の解決にも大きなカタルシスを感じず、新キャラクターにも強く惹かれず、旧キャストの登場にも素直に喜べない。一貫して、笑わせたいところも、盛り上げたいところも、自分にはずっとすべっているように感じた。

『踊る大捜査線』を現代に復活させること自体には、まだ可能性があると思う。

だからこそ、懐かしさではなく、「今の時代に青島を走らせる意味」を観たかった。

自分にとっては、これまで観てきた映画の中でも、かなり厳しい一本になってしまった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました