今を生きる #3|僕は、スーパーマンじゃない。

ブッヒー

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退職することを決めてから、一番大きかったのは寂しさではなかった。

**「やっと逃げられる」**

そんな気持ちだった。

7年以上働いた会社だった。アルバイトから始まり、社員になり、後輩を教える立場にもなった。

特に好きだったのが業務改善だった。自分たちの仕事を少しでも良くすることが、その先にいるお客様につながっていく。そこにやりがいを感じていた。

だから、仕事が嫌いだったわけではない。むしろ好きだったから、7年以上も続けられたんだと思う。

ただ、長く働く中で少しずつ会社との考え方にズレを感じるようになった。

それがはっきりと表面化したのが、社会問題にもなったビッグモーター社の問題だった。子会社で働く自分から見ても、会社がお客様ではなく、代理店や自分たちの保身を優先しているように見えた。

自分が業務改善にやりがいを感じていたのは、その先にお客様がいると思っていたからだ。だからこそ、「この会社は本当にお客様の方を向いているんだろうか」という疑問は、自分の中でかなり大きかった。

そんな頃、仕事から帰って酒を飲みながら、SMAPの「たいせつ」を何度も繰り返し聴いていた。聴いているうちに自然と涙が出てきた。

特に心に残ったのが、曲の最後に出てくる**「スーパーマンじゃない」**という歌詞。その言葉に自分を重ねていた。

それでも、退職を決めたあとまで自分の働き方は変わらなかった。

12月28日の夜に急に熱が出て、翌29日になっても熱があり、声もまともに出なかった。それでも会社に行った。

12月29日から1月3日まで勤務を入れていた。もう辞める人間なのに、年末年始まで全部休むのは申し訳ないと思っていたからだ。

有休だって、結局全部は使わなかった。今考えれば、そこまでして働く必要なんてなかったのに、それでも当時の自分は休めなかった。

退職が近づくにつれて感じていたのは、不安よりも解放感だった。ここから逃げられる。環境が変わる。また一から始められる。次の会社ではきっと大丈夫。そんなワクワクや高揚感すらあった。

そして2024年1月21日、7年以上働いた会社を退職した。

嫌いになったから辞めたわけじゃない。好きだった場所だった。それでも、続けられなくなった。

翌日の1月22日には、そのまま新しい会社に入社した。

今振り返って思うのは、#2で書いたあの研修の日に、素直に休んで病院へ行けばよかったということだ。

でも当時の俺は、環境さえ変われば大丈夫だと信じていた。そして新しい会社で、思いもしなかった言葉をかけられることになる。

**「なんで今日来たんですか?」**

――今を生きる #4へ。

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