今を生きる。#6|私は壊れた。

ブッヒー

これまでの「今を生きる」シリーズはこちら

前回は、転職したばかりの私が「何やってんだろう」と涙を流した夜のことを書いた。

なぜ、入社直後からそこまで追い詰められていたのか。今回は、転職先で感じた仕事のギャップについて書いておきたい。

ブッヒー
この記事でわかること
  • 管理者候補として入社したのに、想定していた仕事がなくなっていたこと
  • 経験を生かせず、将来も見えない環境に追い詰められたこと
  • 転職先とのギャップによって、すでに弱っていた心が壊れていったこと

聞いていた仕事と違った

私は、管理者候補として転職した。

まずはプレイヤーとして仕事を覚え、将来的にはメンバーの育成や現場の改善に関わっていく。面接で聞いた話から、そのような働き方を想像していた。

前の職場では長く働き、最後の数年間は人を管理する立場にいた。環境を変えて、これまで身につけた経験やマネジメントの力を試してみたいという気持ちもあった。

ところが入社してみると、私が管理するつもりだった現場そのものがなくなっていた。

実際に任されたのは、事前に聞いていた仕事とは異なり、依頼を受けたあとの細かな確認や、外部との調整を繰り返す仕事だった。

何か変更があれば連絡し、返事を待ち、別の確認が出ればまた連絡する。自分で考えて改善できる範囲は少なく、これまでの経験を生かせる場面もほとんどなかった。

仕事そのものを否定したいわけではない。ただ、私にはあまりにも合わなかった。

前の職場を辞めた意味がなくなった

研修にも明確な予定やゴールはなく、責任者が途中で離席して、そのまま放置されることもあった。

何を教わり、何をまだ教わっていないのかも管理されていない。それでも仕事は次々と割り振られ、分からないことがあれば、その都度質問しながら進めるしかなかった。

責任者はいつも忙しそうで、自分の仕事すら処理しきれていないように見えた。その姿を見ていると、この先ここで働き続けた自分がどうなるのか、まったく想像できなかった。

仕事の進め方について提案したこともあったが、個人の工夫で変えられる問題ではなかった。

聞いていた仕事と違う。これまでのスキルも生かせない。管理者になる未来も見えない。研修も整っていない。

環境を変えて新しいキャリアを築くために転職したはずなのに、私は次第に、前の職場を辞めた意味までなくなってしまったように感じていた。

仕事は、人間を壊す

ただ、すべての原因が転職先にあったとは思っていない。

振り返れば、前の職場にいた頃から、私の心はすでに壊れ始めていた。近くで厳しい応対をしている声を聞いただけで、手が震えたこともあった。それまで長く働いてきた中で、そんなことは一度もなかった。

私は自分の生活を守るために転職した。

それなのに、環境を変えた先で待っていたのは、聞いていたものとは違う仕事だった。

やがて頭が重くなり、周囲の音がうまく入ってこなくなった。お酒を飲んでいない夜にも何度も目が覚め、後輩と遊んでいたときには、話しながら突然涙が出た。

さすがにおかしいと思い、心療内科を受診した。

適応障害と診断され、私は働けなくなった。

外から見れば、ただ転職に失敗した人の話なのかもしれない。しかし、仕事は単なる生活の一部ではない。合わない環境に居続ければ、人の心だけでなく、その人自身を壊してしまうことがある。

前の職場に残ることが正解だったとも、転職したことが正解だったとも思えない。

私は間違えたのではなく、生きるために選んだ道が、たまたま自分を助けてくれなかった。

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