鑑賞日:2026年9月30日
鑑賞環境:映画館

この記事でわかること
- 『藁にもすがる獣たち』を観た率直な感想
- バラバラな人物たちが1億円を軸にまとまっていく構成の面白さ
- 森七菜の悪女ぶりと、東映らしい荒さ・バイオレンスについて
🐷 ブッヒー評価
総合:4.0 / 5
内容:3.6 / 5
音楽:評価なし
構成:4.5 / 5
※この記事はネタバレを含みます。
バラバラだったものが、最後に一本につながる
『藁にもすがる獣たち』で一番気持ちよかったのは、構成だった。
序盤から、それぞれの人物が別々に動いているように見える。誰が何を目的にしているのか、どこで話が交わるのか分からないまま物語が進んでいく。
ところが、観ているうちに少しずつ関係が見えてきて、最終的にはすべてが「1億円」を中心に一本の線としてまとまっていく。
この見せ方が非常に気持ちよく、構成力の高さを強く感じた。
ただ、構成の巧さと内容の納得感は少し別だった。人が死ぬこと自体は、この作品のバイオレンス性を考えれば気にならない。ただ、人数が増えるほど「なぜそこまで殺すのか」という理由づけが薄く感じる場面もあった。
殺すなら殺すで、もう少し動機に納得できるか、あるいは見ていてスカッとするような爽快感があれば良かった。その部分では現実味が少し薄く、だから内容は3.6。一方で、物語の組み立て方そのものはかなり好みで、構成は4.5とした。
アクションもサスペンスも、かなりてんこ盛り
この作品は、単純なサスペンス一本というより、いろいろな要素が詰まっている。
金を巡る駆け引きがあり、裏切りがあり、アクションもある。しかも、かなり荒っぽい。
血も出るし、暴力描写にも遠慮がない。誰かに都合よく手加減するような感じもなく、容赦なく話が進んでいく。
こういう荒さやバイオレンス感には、昔ながらの東映映画っぽさも感じた。上品にまとめるというより、欲にまみれた人間たちをそのままぶつけてくるような勢いがあり、そこはかなり楽しめた。
森七菜の悪女ぶりが光る
キャストの中で特に印象に残ったのは、森七菜だった。
悪女としての存在感がしっかりあって、普段のイメージとはまた違った魅力が出ていたと思う。
この映画には、それぞれ金に対する欲や思惑を持った人物が登場するが、その中でも森七菜のキャラクターは輪郭がはっきりしていた。
物語が複数の人物を行き来する作品だけに、こういう強いキャラクターがいると見やすい。
鈴鹿央士の「普通の大学生感」は良かった
鈴鹿央士については、どこにでもいそうな大学生感がかなり自然だった。
変に映画的な人物にしすぎず、「こういう若者いそうだな」と思えるところは良かった。
ただ、個人的にはもう少しバカっぽさがあっても良かったと思う。
金に目がくらんでしまう浅はかさや、「1億円」に必要以上に執着してしまう若さがもう少し強ければ、他の登場人物との違いももっと出た気がする。
普通っぽさは良かったけれど、その普通さが金によって崩れていくところを、もう一段強く見たかった。
荒々しく、最後まで勢いのある一本
『藁にもすがる獣たち』は、アクション、サスペンス、バイオレンス、金を巡る欲望と、とにかく要素が多い。
森七菜の悪女ぶりも印象的だったし、鈴鹿央士の普通の大学生らしさも作品の中でいいアクセントになっていた。
内容面では、殺人の多さや理由づけに少し物足りなさを感じたものの、荒っぽく、血も多く、容赦のない世界観そのものは楽しめた。
特に、最初は別々に見えていた人物たちの動きが、最後にひとつの物語として見えてくる構成はかなり好みだった。内容よりも構成の巧さが強く印象に残った一本だった。


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